
どうも、映画大好きブロガーhasuke(@hasuke_hobby)です。
今回は2019年10月公開の映画『ジョーカー』についての感想・レビュー記事になります。
『ジョーカー』スタッフ
<監督・脚本>
トッド・フィリップス
『ハングオーバー』シリーズ監督 など
<制作>
ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
<キャスト>
ジョーカー:ホアキン・フェニックス
マレー :ロバート・デ・ニーロ
ソフィー :ザジー・ビーツ
ペニー :フランセス・コンロイ
トーマス :ブレット・カレン
など
『ジョーカー』あらすじ&PV
「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。
都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れる悪のカリスマジョーカーに変貌したのか? 切なくも衝撃の真実が明かされる!
引用:『ジョーカー』公式サイト

『ジョーカー』ネタバレ無しレビュー
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC Comics
個人的評価: S
映画 #ジョーカー 感想
✅狂った映画と思いきや実は丁寧な映画
✅ホアキンの演技は狂気的
✅覚醒後の階段シーンは神
✅爽快感はほぼ無し
✅観る人によって共感度が変わりそうまとめ:個人的には傑作だけどオススメはしづらい
不満は売店にジョーカーグッズが無かった事
何でバットマンしかないかな… pic.twitter.com/eJtPeYy8U2— ハスケ@アニメ・漫画・映画LOVE! (@hasuke_hobby) October 9, 2019
この映画はDCコミック原作の『バットマン』に登場するヴィラン(悪役)である「ジョーカー」の誕生を描いた作品です。
ジョーカーといえば、ジャックニコルソン版のジョーカーに衝撃を受けてからすっかり好きになったヴィランですね。
あの狂気的なキャラと悪の価値観が格好良いんですよ。
まさに悪のカリスマです。
今回はそのジョーカーのスピンオフで、いかにして誕生したが描かれるとあっては期待しかありません!
という事で早速劇場で鑑賞してきたので、レビューしていきます。
前半はネタバレ無し・後半はネタバレ有りと分けています。
最初はこの『ジョーカー』前評判が色々と凄まじくて、かなり狂った映画かと思ってたんですよ。
アメリカでは公開中止や劇場前で荷物検査をする劇場があったとニュースになっていましたし。
しかし、いざ鑑賞したら凄く丁寧に作られていた映画でしたよ。
アーサー・フレックという男が、悲惨な生活を送り狂気に満ちていく過程がじっくりと描かれています。
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC Comics
内容についても触れておきますね。
この映画で描かれるのは徹底的な「陰」。
普通、人を感動させるのは「陽」の部分だと思います。
しかし、この映画には爽快感はほぼ無く、鬱鬱たる展開が大部分。
それでも観客の心を揺さぶり、形容しがたい感情を引き起こしています。
アメリカのみならず日本を含めた世界中でヒットした理由を考えると、人間誰しもが「陰」の部分を持っており、その「陰」の共感という人間の本質をついたのが大きいと思いました。
評価も感想も解釈も割れる作品で、他の人のレビューを読むのが本当に楽しい。
これも脚本の素晴らしさだと思います。
映画としての完成度の高さは文句なし!
何といっても主演のホアキン・フェニックスの狂気的な演技が凄すぎます。
ガリガリで貧相な身体は『マシニスト』のクリスチャン・ベールを彷彿させましたね。
間違いなくアカデミー主演男優賞に絡んでくるんじゃないかな?(受賞も全然あり得る)
弱弱しさを十二分に表現しながらも、ジョーカー姿では圧巻の格好良さで、今回のジョーカーとしては最高のキャスティング。
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC Comics
この颯爽と歩く姿が格好良すぎる。
カラフルなスーツの着こなしも素晴らしい!
ジョーカー役に関してはヒース・レジャーという圧倒的な存在がいますが、ホアキンも満足のいくジョーカーだったと思います。
どちらが上というのはナンセンス、自分はジャック・ニコルソン版も好きだし。
司会者マレー役のロバート・デ・ニーロは役柄も相まって色々と上手いなぁと感心でした(日本ならあの役はみのもんたさんがピッタリ笑)
ただ、鬼気迫るアーサー(ホアキン・フェニックス)視点のストーリーなので、他のキャストはあまり印象に残らなかったかなぁ。
作品としてもわざとそういう作りにしてたと思います。
これはややこしい言い方になるんですけど、アメコミのヴィランであるジョーカーの映画というのがマイナスな部分もあったと思うんですよ。
もちろんジョーカーならではの映画だったし、ジョーカーじゃなければインパクトも薄かったとは思います。
ただジョーカーのスピンオフという事で『ダークナイト』のようなアメコミ映画と期待してた人も多いと思います。
アメコミ映画と聞くとやはりアクションなどを期待してしまうところ。
今回の映画は明らかに作風が違っており、言うなれば『タクシードライバー』や『レクイエムフォードリーム』のような社会派ドラマ、サイコスリラーなんですよね。
今回の映画内容から考えると、ジョーカーである事の良い部分・悪い部分がはっきり出ていたかなと感じました。
危うい傑作、どう感じ取るかはあなた次第
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC Comics
『ジョーカー』は社会から迫害された男がいかに狂気をはらんでいき「ジョーカー」になるかを描いた作品です。
この映画を観てどのような想いを抱くかは本当に人それぞれだと思います。
人によってはジョーカーに共感するだろうし、人によっては嫌悪感を覚えるかもしれない。
社会の底辺であり孤独な男の人生を哀れに思うか、冷笑するのか、自らに投影してしまうのか・・・
反応は千差万別であり、どれが正解という訳でもないと思う。
劇中でアーサーは自分の人生を喜劇と評していましたが、自分からすると「笑えない喜劇」だなと感じました。
少なからず共感の気持ちが強いのだと思います。
この映画は鬱鬱とした作品であり、積極的にオススメできる映画ではありません。
ですが、自分は何回でも観たいと思う素晴らしい作品でしたね。
作品の概要を聞いてなお興味がある人、ジョーカーというキャラクターに対して深く知りたいという人はぜひ劇場に足を運んでみてください。
関係無いけど感想ツイートにも書いた、劇場にジョーカーのグッズが無かったのが許せない(笑)
バットマンやワンダーウーマンがあったのにおかしいよ。
これもある意味、映画とリンクしているようで面白いけどね。
下にネタバレ有りで魅力を語っているので、映画鑑賞済みの方はぜひご覧ください!
<どんな層にオススメ?>
・ファミリー層:×
R15+なので、キッズが鑑賞不可
・ティーン層 :△
暗い話なので相性は良くないかも
挫折した大人の話なのも共感が難しいと思う
・カップル層 :△
鑑賞後に気分が落ちるタイプの映画なので
デートムービーとしてはオススメできない
シリアスな映画好きのカップルなら有り
・一般男性層 :〇
一番共感しやすい層
逆に影響され過ぎないように注意
・一般女性層 :〇
男性と同じく境遇によっては共感しやすいと思う
残酷描写もあるので苦手な人は注意
・アメコミ映画好き層:△
普通のアメコミ映画とは違いアクション要素も無し
より深くジョーカーを知りたい人には当然オススメ
『ジョーカー』ネタバレ有りレビュー
共感してしまう危険性
冒頭でも触れた通り、アメリカでは厳戒態勢が取られるほどの危険性が喚起されていたりと、一本の映画とは思えない話になってますよね。
日本でもネット上の評判では負けず劣らず”ヤバい”という感想が多く見かけます。
鑑賞後はその評判もうなずけました。
主人公であるアーサーは哀れで惨めな中年男であり、社会から迫害されたつまはじき者。
そんなアーサーと全く同じ境遇な人はそうそういないと思いますが、部分部分では持ち合わせている人は多いんじゃないかな?
どんな人でも”陰”の部分は持ち合わせていると思うんですよね。
全く無い人がいたらごめんなさい、でもそれは幸せな人生ですよ。
自分は全てではないですが、ジョーカーに対して共感を覚えてしまいましたね。
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC Comics
今回のジョーカーは涙が流れるメイクが印象的。
この悲哀もまた共感が生まれてしまう要因に。
哀れな男が悪のカリスマへ、弱者が狂気と暴力によって強者を倒す・・・・この方式に羨望を抱いてしまう気持ちは誰でも持ってしまいそうな気がします。
少なくとも自分はこの映画にある種のカタルシスを感じてしまったのは事実。
だからといって、それに共感してテロ行為を起こす危険性などはさすがに危惧していません。
しかし、この映画を観る事で心に芽生えた小さい慟哭は、倫理観を変えるキッカケにはなり得るかもしれない。
この映画からは、そんな「危険性のある共感」を覚えてしまいました。
アーサーはジョーカーにならなかった可能性もあった?
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC Comics
ジョーカーになるべくしてなったアーサーではありますが、思い返すと何回もジョーカーにならないように抵抗していたと思うんです。
アーサーは清廉潔白な人間ではありませんが、自分なりにまともでいたいと行動してました。
ピエロとして働きながらコメディアンとしての夢を追う、老いた母親を見捨てず介護する、精神を安定させるためにカウンセリングと薬を処方してもらう・・・
しかし、そんな彼を待っていたのは、悪ガキのリンチ、カウンセリングの打ち切り、TVで笑い者にされる・・・
唯一の希望であった(思い込み?であったが)父親に会いに行くも殴られた上に罵倒される・・・
心から尊敬していた司会者に会うも利用されているだけなのに気付く。
アーサーなりに懸命に生きようとして時にはSOSを出していたのに、それを社会や周囲が拒絶し、更に追い込んでいく。
結局のところ、ジョーカーを生んだのは周囲なんじゃないかな?
「本当の悪は笑顔の中にある」という本作のキャッチコピー。
それは劇中で幾度となく繰り広げられた他者がアーサーを嘲笑うシーンなのではと感じました。
まさに笑えない喜劇だ・・・
どこまでが妄想?現実?
この作品の作りとして、アーサーの妄想が多分に関わっていました。
憧れのバラエティ番組への出演(後に叶いますが)、同じ階の住人との恋人関係など、何度となく妄想を繰り広げていたアーサー。
精神に異常があったアーサー主観で進むだけにどこまでが現実なのか分かりにくい作りが上手い映画です。
このどこまでが現実か?というのを考えると物語の観点が全然変わってくるのが面白い。
特に解釈が分かれそうなラストについては別記事で考察しました↓

例えば、母親がトーマス・ウェインと愛人関係にありアーサーはその子供だったという話。
これは母親の妄想でありトーマス曰く「イカレ女」だったという事ですが、はたして本当に妄想だったのか?
劇中で若き母親の写真の裏に「とても美しい君 TW」というメッセージが書かれているシーンがあります。
このTWがトーマス・ウェインであるならば母親の言っている事が事実で、隠ぺいの為に精神異常者に仕立て上げられたという説もありえますよね?
そうなるとトーマス・ウェインがゲス人間だし、バットマンとジョーカーが異母兄弟という事になるんです。
その他にも「マレー・フランクリン・ショー」でアーサーの舞台が紹介されて、ゲストに招待されるという展開。
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & ©DC Comics
これもTV番組があのようなショーの一幕を紹介するか?しかもゲストにまで呼ぶか?という疑問もあります。
そうなるとあれが妄想だったら?マレーを殺したのも妄想?
だとするならジョーカーになったシーン全てが妄想であり、ラストの精神病院に繋がるかもしれない。
他にもここは妄想だったのかな?なんて思う場面も何個かあったりします。
正解をぼやかす脚本はあまり好きじゃなかったりもしますが、この映画は悔しいけど上手く作ってます。
ジョーカーという虚言が多いキャラクターなのが、ここでまた生きてくるんですよ。
ちなみにここまで書いておいてなんですが、自分としては上記に挙げた場面は現実だったと思ってます(笑)
その方がジョーカーの悲哀がより際立ちますし、何よりバットマンとの因縁が生まれるんで(これ大事!)
『ジョーカー』次回作は?
これは本当に五分五分じゃないでしょうか。
個人的にもあってほしいような、無くてもいいような・・・
最後にブルースのバットマンへの覚醒フラグがあったので続編がありそうな気もします。
しかし、アメコミ映画らしからぬ映画であった『ジョーカー』だけに、続編でバットマンとバトル展開になるのも何か違う気もします。
よく見かける意見としてはバットマンとジョーカーの年齢差。
ちょっと離れすぎていて続編が難しいのでは、という意見です。
それに付随して今回のジョーカーから影響を受けた他のジョーカーがバットマンと戦う続編になるのではという意見もありますが、個人的にはそれならもう続編いらない派です。
ホアキン版ジョーカーの続きが見たいので、違うジョーカーならそれはもう別軸の関係ない映画として作ってほしい。
自分の理想としては続編でホアキン版ジョーカーとバットマンの戦いが見たい。
ジョーカーは仮装してて年齢不詳なところがあるから何とかなる…かも(笑)
<まとめ>『ジョーカー』感想・レビュー
傑作であり問題作でもある『ジョーカー』をレビューしました。
凄い映画なんだけどオススメできないというジレンマな作品は久しぶりでした(笑)
でも倫理的に問題はあれど心に深く残っている事がこの映画の魅力を物語っている気がします。
好きだったヴィラン・ジョーカーを堪能できたと同時に素晴らしい映画に出会えた事に感謝!

