どうも、「一番好きな声優の声質は皆口裕子さん」のhasukeです。
自分はアニメ好きなんで、当然声優さんも好きなんです。
先日、けものフレンズなどで知られる声優尾崎由香さんがバラエティ番組で発言した内容が炎上するという事件がありました。
この内容って結構深い問題だと思うんですよ。それについて今回考察してみます。
尾崎由香さんを叩くつもりはありません。テレビって台本とかあるでしょうしね。
多様化している声優業
今回炎上した発言の一部を紹介します。
尾崎「やっぱり今の声優って、声のアフレコだけじゃなくて歌ったり踊ったりとかキャラクターに近い人が選ばれる可能性が高いんですよね。歌って踊れる声優が今一般的。」
池澤「歌えもしない踊れもしないという…」
尾崎「そんなことないですよ。でもほら、若い人の方が演じやすいし。」
これだけ見るとメチャクチャ失礼な内容ですが、尾崎さんの発言って事実なんですよね。
声優って普通に考えると声質・演技力がメインと思いますよね。
でも今はそれに加えて、ルックス・歌唱力・ダンス・トーク力が必要になっています。
この中でも特にルックスはかなりの割合を占めており、声質・演技力を凌ぐかという勢いです。
これは特に女性声優に顕著です。男性声優にもありますが男性の方はイケボなどの声質が女性ファンに重視されている傾向に思いますね。
女性声優はアイドル路線で売る、いわゆるドル売りをされる事が多くなっています。
何故なのか?女キャラが多いアニメが増えたというのもありますが、一番はお金が稼げるからでしょう。
今はアニメのDVDなどの特典として声優のイベントチケットがついているものが多いです。売上げがかなり上がります。
また宣伝番組をyoutubeやニコニコ動画で声優がやることがほぼ既定路線になってます。ライブ・トークショーもよく行っており、それだけ声優さんの価値が大きくなってると言えるでしょう。
この事は別に悪くはないと思います。自分も好きな声優さんが出ている動画は見たりするので。
ただこういって声優がタレント化することで肝心の演技部分がないがしろになってしまわないかという不安は持っているんです。
タレントに必要なのは容姿やトーク力、キャラクター性ですからね。
こういった要素が顕著なのがドル売りです。ご存知大人気アニメとなった『アイドルマスター』や『ラブライブ』はアニメ自体がアイドルの話です。それに連動して声優もユニットを組んでアイドル活動をするんですね。
これがヒットしました。確かに良い曲多いですし、歌も上手くて自分も好きな曲結構あります。しかし、アイドルアニメがたくさん作られるようになる反面もありました。
中には新人声優を集めてアイドルユニットとしてデビューさせる作品もありましたね。こうなってくるともう声優というよりアイドルですね。でも声優としての活動に繋がらず、その後の仕事が無い声優さんとかを見ると可哀想になります。
そしてアイドルと関係ないアニメでも出てる声優でユニットを組んでアイドル売りをしているアニメも増えています。
こういった現状ってさっき言ったような
ルックス・歌唱力・ダンス・トーク力>声質・演技力
の傾向に拍車をかけるように思います。
ネットでよく見る意見には
同じ実力やったら顔がいい方がいいやろ
というものがあり、これには異論がありません。
でも先述した通り、この同じ実力という前提が壊れてないかな?と思う訳です。
素晴らしい声質や演技力を持っていても、ルックスが悪いから仕事をもらえないとなると最悪です。
さらにもう一つの懸念としては綺麗、可愛いだけでは年取ってからきつくなります。アイドル全般に言える常識ですね。
実際、可愛いと話題になった声優さんって気付けば名前聞かなくなったりってよくありません?もちろんどんな声優さんにもあり得る事ですが、ドル売りの声優さんには特に多い気がします。
結局ルックス重視だと次から次へと若く可愛い声優が出てきて、嫌な言い方ですが使い捨てのような負のサイクルになる、一方その裏では才能ある声優がルックスが悪くて仕事が無く声優を諦めてしまう。
こうなってしまうと声優という分野自体がかなり粗悪なものになってしまいそうで危惧しているんです。
激化する生き残り競争 流入が著しい声優業界
そして、今回の発言から見えるもう一つの危惧している事項です。
その尾崎さんの発言を紹介します。
・アニメを全く見ない
・一番憧れてるのはイモトアヤコさんで、珍獣ハンターになりたい
・声優から抜け出してバラエティーに行きたい?と尋ねられ「行きたい!」と即答
要は「アニメに興味は無かったけど声優になって名前を売って、バラエティタレントに転向したい」という旨の発言ですね。
尾崎さんがどこまで本音なのかは分かりません。最初にも言いましたが台本あってのテレビ番組なので。ただ尾崎さんは子役から声優に転向しており、芸能界で生き残るために色々考えてはいそうですね。
尾崎さんの真意はともかくとして、こういう考えの人が声優界に流入している事は多そうです。または他分野(特にアイドル)で上手くいかなかったので声優界ならいけるだろうという考えで入ってきている人もいると思われます。
結局、今声優業界の人数が激増している原因の一つとして
アニメに興味ない人が本来やりたいことのステップアップのために声優になっている
という部分があるという事です。
最近のニュース記事で「声優名鑑の女性声優が847名で18年前の約4倍」という記事がありました(おそらく載ってない声優もいると思うので数字は実際は増えると思います)
また下の画像はテレビの番組で紹介されたピラミッド図で、30万人の声優志望者の上に6300人のプロ声優がおり、その上に人気声優300人がいるというものです。この中でも人気声優ぐらいしか声優で食べていけるだけ稼げていないという話でした。
これだけ声優は過酷な競争下にあるわけですが、その中にアニメに特に興味なく名前を売るために入ってくる人たちがいる。そういう現状で「ルックス>実力」になりつつある声優業界が凄く怖いんですよね。
<まとめ>声優業界の未来について
あまり声優に詳しくない人が思い浮かべる声優さんって誰でしょうか?
名前はうろ覚えの人も多いですが、よく聞くのは悟空役の野沢雅子さんやドラえもん役の大山のぶ代さん、おはスタの山寺宏一さん、この辺のベテラン勢が多いです。
やっぱり、このレベルの方々は唯一無二な声質、類まれな演技力を持っています。
これからの声優業界もそういった逸材を埋もれさせないように「ルックス>実力」の傾向は抑えないといけないと考えます。
そして、使い捨てのようなサイクルを無くして一人一人の声優生命が伸びるような声優業界になってほしいものです。
今儲かると言う事だけを重視していると将来的に業界自体が危機になることってよく聞く話ですよね?
育成も大事です。今回の同番組に出演していた池澤春菜さんは
現場が若い声優だらけで女子会の様になっており、指導をするといじめられたと言われた
と言っており、他にもアニメ監督さんの話でも
演技指導をしようとしたら、マネージャーにアイドル声優だからやめてくださいと言われた
という話もあります。もうムチャクチャですよ。じゃあアイドルになれよって思います。
こんな混沌としてきている声優業界ですが、若手声優にも実力のある人たちはいるんです。決して先が無い業界ではないので、ぜひ『未来の声優業界』を考えた声優さんの発掘・育成・起用をしていってほしいです。