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漫画『百万畳ラビリンス』感想レビュー ギミックだらけの異空間から脱出できるか!?

漫画 百万畳ラビリンス 感想 レビュー
作者 たかみち
出版社 少年画報社
巻数 全2巻
連載期間 2013年-2015年
個人的評価 A

『百万畳ラビリンス』あらすじ

人と関わるのが苦手な主人公礼香はゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしていた。

ある日、ルームメイトの庸子と共に謎の木造迷路に迷い込む。

そこは空間も常識が通じない世界だった。

果たして二人は脱出できるのか!?

ネタバレ無しレビュー

まさにSFミステリーを体現したような作品「百万畳ラビリンス」をレビューしていきます。

ゲーム会社でバグを探すアルバイトをしていた礼香と庸子、気が付けば謎の空間におり、そこからの脱出を目指すというストーリー、これだけでもうワクワクが止まらない展開です。

とにかくこの異空間のギミックが面白すぎる!

一般的な日本家屋ですがふすまの奥に次の部屋への道が続いていたり、外には大森林があるが下が畳敷き、更に畳の下にはクローゼットがあったり、もうムチャクチャ(笑)

百万畳ラビリンス引用:漫画『百万畳ラビリンス』

どこに風呂場あるねん!(主人公はここでお風呂入ってました笑)

その他にもループを繰り返す無限回楼、置かれた物質をコピーして他と共有するちゃぶ台など捻られた仕掛けが各地で出てきます。

アクションゲーム好きにはクリティカル間違いなし!

個人的にはスーパーファミコンのアクションゲームを思いだしました。なんかこういう横スクロールゲームありそうじゃないですか?

巻数も全2巻とサクッと読めて好印象です。ダラダラと続けてよく分からない終わり方をする脱出物って結構多いんですよ。

この作品はちゃんと謎も解明されるし、オチもちゃんとつけられています。これ重要ですよね。

そして登場人物ですが主人公の礼香はさっぱりとした性格であり悲観的になりません。この作品は基本明るく進んでいくのでまさにうってつけの主人公になっています。

友達の庸子も見た目はインパクトありますが(笑)中身は美しい・・・かも?

二人は脱出できるのか?ぜひ読んでみて確かめてください。

こんな人に特にオススメ!

・謎解き・脱出モノが好きな人

・アクション・アドベンチャーゲームが好きな人

・全2巻の短い漫画が読みたい人

『百万畳ラビリンス』は電子書籍でも読めます


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ネタバレ有りレビュー

完成された世界観・ギミックの秀逸さ

謎の世界からの脱出、もうそんな設定を聞くだけでワクワクが止まらない自分にはこの作品は最高でしたね。

普通のよくある木造住宅ってのが趣があって良いですよね~(笑)。空間はムチャクチャだけど。

個人的に好きだったのは床の間の小便器。あの非日常感がたまらない・・・

途中からは謎のモンスターまで出てきました。

百万畳ラビリンス引用:漫画『百万畳ラビリンス』

はい、パックマンですね

このモンスターはこの迷宮をバクバク喰っていくやべーやつ。

ますますスーパーファミコンの横スクロールアクションみたいになっちゃったよ(笑)

こいつが出てきたことによって、じっとしてられない時間制限も始まってドキドキがかなり上がりました。

どこがどこに続くのか分からない、でも落ち着いてもいられない。上手く設定を作り上げたなぁと思います。

主人公『礼香』の特異性

物語が進むにつれて、主人公の礼香の特異性がどんどん見えてきました。

百万畳ラビリンス引用:漫画『百万畳ラビリンス』

一見明るかった礼香が実は闇が深かったのは意外な展開・・・

確かに今までも常人の発想を凌駕している事が多かった。

『ちゃぶ台』の件ではそれが顕著に出ていましたね。

この異空間ではちゃぶ台が各地に点在しており、その上に置いたものは他のちゃぶ台に上にも複製されて置かれるという仕様でした。

そこで礼香が考えたのはちゃぶ台の上にちゃぶ台を重ねるということ。普通そういう発想になるか?笑

結果としてはちゃぶ台は無限に上に積み重ねられるという事実が判明。礼香は更にそれを使って先ほどのパックマンモンスターを撃退、格好良いね!

そして他にも礼香はどこか人と違う性格を昔から持っており、他人と価値観を共有することが難しいという事も徐々に分かってきます。

今回、一緒に異空間にきた庸子とも考え方の違いも大きかったですね。

早く抜け出したい庸子と現状を楽しんでいる礼香。

普通に考えたら、確かに庸子の考え方が普通なんですよ。

そして、最終局面で彼女が選んだ選択肢とは・・・

 

最後に礼香が選んだ選択

後半、この異空間が何だったのか?それが判明しました。

この異空間は異星人が地球を乗っ取るために、徐々に地球人を生簀(いけす)と称される世界に送り込む前段階にあたる世界でした(ややこしいなぁ笑)

異星人たちと礼香と庸子の戦いは激化していきますが、礼香は途中で庸子と別れることを選びました。

百万畳ラビリンス引用:漫画『百万畳ラビリンス』

これがまた泣けるシーンで・・・

庸子の事は嫌いじゃない、でも自分とはやはり違うんだという事を認識して、別の道を選ぶんです。悲しいですよね、自分と価値観を共有できる人がいない悲しみ。

そして、礼香は最終的に異星人の中枢機関にまで侵入し異星人たちに勝ってしまう事に。

その後、礼香が選んだ結末は現実には戻らない、その異空間を支配し、異星人たちのラスボスとして君臨するという道でした。

今思えば最初から礼香ってどこか非現実を求めていた=現実に絶望していたんだろうなと思います。

一話の時点でも実はこんな発言をしてるんですよね。

百万畳ラビリンス引用:漫画『百万畳ラビリンス』

まさかの伏線だったとは・・・可愛い笑顔の裏でどんな気持ちだったんだろう・・・

自分の思考・価値観は普通の人と違う事、家族に性的虐待を受けそうになった事、色々な事が積み重なったんでしょうか。

礼香が選んだ結末は悲しいエンディングだったなぁと思いました。個人的には色々考えることはあったとしても、現実に戻ってほしかった庸子という待ってくれている人もいたし。

それでも異世界に残る選択肢を選んだのはそれ以上に礼香の闇が深かった(現実に絶望していた)という事なんでしょうね。

<まとめ>『百万畳ラビリンス』レビュー

『百万畳ラビリンス』は工夫された世界観にギミックなど脱出物やアクションゲーム好きをくすぐるような楽しい作品でした。

漫画ならではの世界観だったと思います。小説だったら表現が難しいだろうなぁ。

異空間で始まる謎解きものって投げっぱなしで終わる作品も多い中、しっかりと謎の解明がありオチをつけたこの作品は素晴らしい!作者の才能を感じました。

最後はやや悲しい終わり方でしたが、終始楽しく読めたのは作者のキャラ設定のうまさ、緊張させすぎない上手く息抜きされた展開の妙でしたね。

脱出ミステリーの漫画の中ではトップクラスの面白さを誇る漫画と言えるでしょう!

《番外編》『百万畳ラビリンス』お気に入りキャラ

多神大介

百万畳ラビリンス引用:漫画『百万畳ラビリンス』

ゲーム「ダンジョンテール」の開発者であり、ちゃぶ台にメモを残すなど礼香たちを導いた人物。

隠しきれないコミュ障ぶりがいいですね。

説明の仕方もいちいち知性が高そうで面白い。庸子には本当に人間か怪しまれてたのは笑った(笑)

結果的に異空間で礼香とコミュニケーションをとる唯一の人間となりました。これからも見守ってあげてほしいです。意外と変わり者同士気が合いそうな予感もします。

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